ホラー並みの恐怖 山本文緒「恋愛中毒」 | 女を磨く!

ホラー並みの恐怖 山本文緒「恋愛中毒」

気分転換にと思って選んだ本は、
ホラー並みの恐ろしさ!?

著者: 山本 文緒
タイトル: 恋愛中毒

山本文緒は初めてでしたが、
コバルト出身ということもあり
唯川恵とかその系統なのかな、と思ったら大間違い


サスペンスもいけるだろうなぁ。と感心するほど
構成も大変すばらしく、
ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。


読み始めは主人公は編集プロダクションに
勤める男の子だったはずが、
いつの間にか水無月という事務員のおばさんに。
あれ?と思っているうちに
読み終えてしまいました。


とにかく、私は主人公水無月がいやでいやで
たまらなかった。
いいところがまったく、ない。
それでも、どんどん読み進めてしまうのは、
水無月がもついやな部分は
人間が潜在的にもつ負の要素であり、
決して狂気ではないから。

主人公を取り巻く登場人物はいたってシンプル
一見、欲望のままに生きてたり、計算高かったりするが、
それが人間というものである。

奇麗事など忘れてしまいそうなほど、

みんながみんな好きに生きている。


負の要素があまりにも強い水無月は
ギリギリのラインで自分を欲望を守るために生きている。
それはあるきっかけで簡単にくずれてしまうのだが、

それもまた人間というものなのである。


「見てはいけないものを見てしまった。」
一言で感想をいえばこう。
そして、はっきりいって完全に理解も出来ない。
理解や共感を望む恋愛小説とは違い、
潜在的、精神的な部分で考えさせられるのが
この「恋愛中毒」
である。

怖いもの見たさ、という観点で
山本文緒中毒になりそう。